自律的でレジリエントな
地域が基盤となる
持続可能な社会の実現のために
世界中を襲ったCOVID-19 の拡大は、私たちの健康はもとより、社会のあり方についても多くの課題を投げかけました。日本においては、都市一極集中の脆さが露わとなり、デジタル技術の進展も伴って、社会機能の地方への分散がリスクの軽減と個人と社会の持続可能な発展をもたらし得ることが示唆されました。富とリスクが分散化する社会においては、多様な住民を支えるインフラの持続的発展と産業?文化の振興とをベースとした、自律的でレジリエントな地域社会の実現が不可欠です。
そのような地域社会にあって、茨城大学はどのような役割を果たすべきでしょうか。
第一に、世界を俯瞰的に理解して、顕在化していないものも含む住民の願いや課題を捉え、歴史やグローバル規模の課題と関連づけながら、科学的な見地からその解決?実現を図ることです。その営みを導く、世界の俯瞰的理解と多様な専?分野の知の追究が、茨城大学の学生?教職員双方にはまず求められます。
第二に、社会の多様な主体を結びつける結節点であることです。特定の私的利益ではなく真理の探究を価値基盤とする大学は、住民、自治体、企業、団体など社会のさまざまな主体と、より良い社会を創るために、調和の取れた良好な関係を切り結ぶことができます。その立場を最大限生かし、社会の結節点としての機能を追究します。さらには、自律的?協働的?継続的に学び、成長する市民が、それぞれの生活の場で結節点となることで、ネットワークがさらに広がっていくことを期待します。
第三に、持続可能な環境づくりのために行動することです。茨城大学はサステイナビリティ学の研究?教育において長年の実績を有しています。SDGs(持続的な開発目標)やカーボンニュートラルが国際協調による共通の目標として掲げられる中、茨城を核とした地域の豊かなリソースを最大限生かしながら、本学の強みとなる研究分野を育て、その成果を社会に還元?実装することによって、地球?地域社会の持続可能な発展を具体的に図ります。
これらの役割を果たすべく、私たちは、2030年にこうありたいという姿について、教職員や学生との議論を経て、4つのビジョンと12のアクションで構成する「イバダイ?ビジョン2030」としてまとめました。このビジョンと、そこで展望されている社会像を、多様なステークホルダーと共有し、共感と参加に基づく開かれた大学運営を進めていきます。
なお、私たちは社会の変化を捉えながら、このビジョンとアクションについても、進捗や社会的意義を検証し、ステークホルダーとの真摯な議論によって、逐次ブラッシュアップしていきます。
2021年3月 茨城大学
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イバダイ ? ビジョン2030自律的でレジリエントな地域が基盤となる
持続可能な社会の実現のために
以下の3つを実行します。
- 世界の俯瞰的理解と
多様な専門分野の知の追究 - 多様な主体を結びつける
結節点としての機能強化 - 持続可能な環境づくりのための
先進的行動の展開
そのために、4つの分野で
以下のビジョンとアクションを掲げます。
教育多様な構成員から成るキャンパスにおいて、
社会変化に柔軟に対応できる、
学修者本位の学びにより
成?を実感できる教育の追求
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社会?世界に開かれたキャンパスを構築し、多様な価値観の交差により新たな価値観が生み出される学びの場を提供します。
社会?世界に開かれたキャンパスを構築し、
多様な価値観の交差により新たな価値観が生み出される学びの場を提供します。社会を構成する多様な人々を包含し、多様な意見を出し合い課題解決策を考え、実行することが、持続可能な地域や社会づくりを考えるに当たっては必要です。そうした場面で中心的な役割を果たせる人を育てる大学であるためには、多様な学生、教職員からなるキャンパスを意識的に形成する必要があります。そのために、これまで国立大学の使命の一つとされてきた「経済状況によらず高等教育を受ける機会の保証」にとどまらず、SDGsの目標4「すべての人々へ包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を推進する」ことを大学運営の根幹に据え、留学生や社会人を含めた多様な学生の積極的な受け入れ、多様性を支えられる教職員の採用?FD?SD、キャンパス環境の整備、学生支援を行います。
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社会の変化?ニーズに柔軟に対応しながら、学修者の個性と可能性を伸ばし、挑戦を支え、成長を実感できる教育を提供し続けられるシステムを構築し、進展するデジタル技術を活用して教育方法を改善していきます。
社会の変化?ニーズに柔軟に対応しながら、学修者の個性と可能性を伸ばし、挑戦を支え、成長を実感できる教育を提供し続けられるシステムを構築し、進展するデジタル技術を活用して教育方法を改善していきます。
地域?社会の課題を見いだし、分析し、解決策を考える際には、多様な学問分野からの、多様な方法でのアプローチが必要です。いま大学に求められているのは、多様な科学的知見を活かし、かつ文理横断や異分野融合的な視点を持って、多様化?複雑化する課題に他者と協働して課題解決にチャレンジできる人を育てることです。例えば、SDGsやカーボンニュートラルという目標に向けて、データを読み解き、さらなるデジタル化の進展も前提に、どういう手立てが必要かつ効果的かを考えられる人を育てることです。そのためには、「広い視野」と「深い専門性」、「一定のリテラシー」が必要です。そこで普遍的な教養とも言える知見とともに、現代の社会的ニーズや課題に応じた教育コンテンツを提供します。また、学位プログラム制やメジャー?サブメジャー制といった仕組みを用いて学生のニーズや社会変化に対応できる柔軟性のある教育システムを築くとともに、「4階層質保証システム」を活用して教育の質保証を実質化させていきます。
高校までの学びの中でも身に付けてきた主体性をさらに活かして、工業県?農業県である茨城地域や社会のフィールドで、主体的な実践を教育要素として一層重視していきます。さらに、卒業後も社会の変化に対応した学びを大学の内外で続けられる人材を育てます。
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初等?中等教育からの「連続性のある学び」を展開するとともに、リカレント教育による「生涯にわたる学び」を提供します。
初等?中等教育からの「連続性のある学び」を展開するとともに、
リカレント教育による「生涯にわたる学び」を提供します。現在の教育体系ではキャリア教育が重視されており、初等教育段階から取組が?われています。?らのキャリアを意識し、?学や学部?学科を選択して?学してくる学?に対し、希望の実現を?援する教育を?います。また、「中??接続」という考えの下で、附属学校や地域の学校とキャリア形成教育に関する情報を共有し、連携することで、?学まで連続性のある教育を展開していきます。さらに、卒業?や地域の?々にとって具体的な課題解決の?法探求や教養?市??向上につながるように、リカレント教育のシステムの充実を図ります。
研究研究力の強化と「知」の好循環の確立による
持続可能な社会の構築への寄与
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研究マネジメントと研究環境の改善、教員の自由な発想に基づく研究と分野横断? 融合的な研究により、総合大学として研究力の強化を図ります。
研究マネジメントと研究環境の改善、教員の自由な発想に基づく研究と分野横断? 融合的な研究により、総合大学として研究力の強化を図ります。
2021年現在、?本の?学の研究?低下が指摘されています。学術的な研究?向上のためには、何よりも教員の?由な発想に基づく研究活動が保障され、恒常的に活動が?われ、成果が公表されることが必要です。研究マネジメントと研究環境の改善を?いながら、研究活動の活性化を?います。また、多様な学問分野の研究者を備えた総合?学としての強みを活かし、分野横断的あるいは融合的な研究の組織化も進めます。こうした取組を進めることで、学術的な新たな「知」の創造に寄与します。
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産業界や地域社会との連携を強化し、SDGsやカーボンニュートラルを目指す社会の課題解決に向けた研究や研究成果の社会還元を推進します。
産業界や地域社会との連携を強化し、SDGsやカーボンニュートラルを目指す社会の課題解決に向けた研究や研究成果の社会還元を推進します。
学術的な研究とともに、SDGsやカーボンニュートラルを?指している社会のニーズに応えられるような実践的な研究にも取り組み、研究成果の社会への還元に努め、?々の?活向上に寄与していると実感してもらえるような取組を進めます。そのために、産業界や地域社会との連携推進体制の強化、共同研究や受託研究といった形態での研究を推進します。これにより、「研究成果を社会へ還元し、社会からの賛同と財政?援を得て、さらに研究を進める」という正のスパイラルとなる“社会と?学の関係”の実現を?指します。
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環境科学分野と量子線科学分野をはじめとする特色ある研究分野において、さらに世界水準の研究拠点となる取組を進めます。
環境科学分野と量子線科学分野をはじめとする特色ある研究分野において、
さらに世界水準の研究拠点となる取組を進めます。本学はこれまで、環境科学分野と量?線科学分野を特?ある重点分野と位置付けて、研究活動を進めてきました。研究拠点となりつつあるこの2つの分野の活動を強めながら、研究成果をあげていくことで、さらに世界?準の研究拠点となるよう努めます。また、新たな組織的研究の芽を育て、重点化?拠点化できる研究を?いだし、世界?準に?める?策を講じます。
地域連携?グローバル化地域と世界の結節点となり、
市?と連携した活力ある地域社会の形成
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研究の知見と構成員の行動力を活かし、地域の住?と共に社会の持続的発展のための活動に取り組みます。
研究の知見と構成員の行動力を活かし、
地域の住?と共に社会の持続的発展のための活動に取り組みます。本学は地?国??学として、これまで「地(知)の拠点」としての役割を果たしてきました。茨城県内の地域社会との強?なネットワークを有することが本学の強みです。少?化??齢化、??減少が進む??、多様な?が住み働く地域社会を持続可能とするために、まちづくりや防災等で、産官にとどまらず、課題の解決を試みようとする住?や様々な団体等と、学?を含む?学構成員をつなぐこと、研究から得られた知?を提供することを通じて、地域創?に寄与していくとともに、地域の?々が教育に参画できる機会を拡充します。
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ICT も存分に活?しながら海外の多様な研究者や学?との交流拠点としての機能強化を図り、教育研究の国際化を進めます。
ICT も存分に活?しながら海外の多様な研究者や学?との交流拠点としての機能強化を図り、教育研究の国際化を進めます。
?学は研究者や学?を?定期間外国に送り出すと同時に、外国から留学?や研究者を地域に迎える窓?となっています。外国に出た学?は異?化体験をもとに地域で活躍することになります。外国から来た学?が、卒業後地域で住み働くチャンスも増えていくことも想定されます。今後さらに進展するであろうICT も存分に活?しながら、多様な国の?学や研究機関との連携を強化し、教育研究両?での国際交流拠点、地域と世界をつなぐ結節点としての役割を果たしていきます。
大学運営強固で柔軟な経営基盤の確立、
社会から信頼される大学運営、
教職員の活躍?成?
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強固な経営基盤確立、社会の変化に対応した組織編成と戦略的な資源配分、デジタル技術の活用を通じて、持続可能な運営を行います。また、国内外の機関との機能的連携を強化し、それぞれが強みを活かしながら相互補完できる態勢を作ります。
強固な経営基盤確立、社会の変化に対応した組織編成と戦略的な資源配分、デジタル技術の活用を通じて、持続可能な運営を行います。また、国内外の機関との機能的連携を強化し、それぞれが強みを活かしながら相互補完できる態勢を作ります。
本ビジョンを達成するための中?期的な経営計画、?事計画を策定し、持続可能となる経営基盤を確?します。また、社会の変化に速やかに対応し、必要な資源を適確に投?でき、効果を上げられるような柔軟性のある組織とするとともに、デジタル技術を活?した業務改善も?っていきます。
さらに、限られた組織資源を最?限に活かしながら本学の強みを強化しつつ、社会が求める教育コンテンツを提供し続け、研究?の向上を図るため、国内外の?学?研究機関?企業等との機能的?組織的連携を強化し、相互補完態勢を築く取組を進めます。
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澳门皇冠,澳门现金网、多様なステークホルダーのエンゲージメント向上、大学ブランディングを一体的な目標として捉え、大学内外での戦略的?先駆的なコミュニケーションの強化に努め、地域?社会に信頼される大学運営を行います。
澳门皇冠,澳门现金网、多様なステークホルダーのエンゲージメント向上、大学ブランディングを一体的な目標として捉え、大学内外での戦略的?先駆的なコミュニケーションの強化に努め、地域?社会に信頼される大学運営を行います。
本ビジョンを策定し、アクションを確実に実?していく上で、透明な?学運営に必要な澳门皇冠,澳门现金网、学内外のステークホルダーのエンゲージメント向上及び?学運営への積極的な参加、?学のブランディングを?体的な?標として捉え、そのための学内外でのコミュニケーション機能を組織的に強化します。また、そうした視点に?った?等教育の戦略的なコミュニケーションの在り?を先駆的に確?し、その知?を積極的に社会と共有します。
また、北関東圏の?等教育機関や各界と意?交換を?いながら、?等教育の在り?を継続的に考える場を構築します。
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教育?研究?管理運営の全般について恒常的な点検?評価及び改善(内部質保証)を行います。
教育?研究?管理運営の全般について恒常的な点検?評価及び改善(内部質保証)を行います。
教育?研究?管理運営全般について本ビジョンの達成に向けて、法律で定められている点検評価(レビュー)だけでなく、データに基づいた?標?計画等の達成度を恒常的に共有?点検(モニタリング)し、業務の改善(レビューとモニタリングによる内部質保証)を?います。
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ワーク?ライフ?バランスの推進、適切な人事評価と処遇への反映、処遇の全体的向上、教職員の交流活性化と協働により、教職員が意欲を持って働き、活躍?成?できる組織となります。
ワーク?ライフ?バランスの推進、適切な人事評価と処遇への反映、処遇の全体的向上、教職員の交流活性化と協働により、教職員が意欲を持って働き、活躍?成?できる組織となります。
ワーク?ライフ?バランスを進め、業績評価と結果の処遇への反映を適切に実施し、処遇を全体的に向上させることで、教職員がモチベーションを維持しながら活躍?成?できる組織としていきます。また、教職員間の交流と協働を仕事の進め?の基本に据え、組織全体でパフォーマンス向上を図ります。